子どもが求めているのは“評価”じゃなく“共感”|自己肯定感を育てる親の言葉

本の上に置かれた赤いハートの布製オブジェ

「いい子にできて、えらいね」

「泣かずに待てて、すごいね」

──そんな声かけ、毎日の中で自然に出ていませんか?

一見すると前向きな言葉でも「○○したから好き」「できたから価値がある」というニュアンスが続くと、子どもは「期待に応える自分」だけが愛されると感じてしまうかもしれません。

知らず知らずのうちに――

「本当の気持ちは出さない方がいい」「失敗したら愛されないかも…」と、心を閉ざしてしまうこともあります。

この記事では、条件付きの愛無条件の愛の違いをていねいに解説しながら、子どもの自己肯定感を育てる褒め方と関わり方のヒントをお届けします。

あなたの声かけひとつで、子どもの心に“安心の土台”が築かれていきます。

その第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。

目次

「条件付きの愛」と「無条件の愛」

たくさんの赤いハートが整列して浮かんでいる様子

「いい子にできて、えらいね」

「泣かずに待てて、すごいね」

──こうした声かけは、日々の育児の中で無意識に口にしている方も多いはずです。

けれど、このような褒め言葉ばかり続くと――

子どもは「いい子でいないと愛されない」と思い込んでしまうことがあります。

一見ポジティブな言葉でも、裏に「〇〇したから好き」という条件が含まれていると、子どもの心に「条件付きの愛」が刷り込まれ、自己肯定感を揺るがす要因となってしまうのです。

  • 「いい子にしていないと、パパは笑ってくれない」
  • 「お手伝いをしないと、怒られるかも…」
  • 「泣いたらママに嫌われるのかな?」

極端に思えるかもしれませんが、実際に多くの子どもが、こうした不安を抱えています。

大人が無意識に与える“評価”によって、「○○しないと愛されない」という思い込みが育ってしまうのです。

子どもへの愛情には、

条件付きの愛無条件の愛というものがあります。

「条件付きの愛」と「無条件の愛」の比較

     条件付きの愛無条件の愛
説明子どもが、親の期待や行動基準を満たしたときに与えられる愛情子どもの存在そのものを認め、行動とは無関係に注がれる愛情
親の意図・正しい行動を身につけてほしい
・社会性を育てたい
・子どもの心に安心感を持たせたい
・自己肯定感を育てたい
声掛けの例「⚪︎⚪︎ができたね、だから好きよ」
「静かにしてて、えらかったね」
「どんなときも○○ちゃんが大事だよ」
「がんばってたの見てたよ」
子どもの
受け取り方
「期待に応えないと嫌われそう…」
「本当の気持ちは言えないかも」
「そのままの自分でいいんだ」
「本音を話しても受け止めてもらえる」
長期的な
影響
・親の顔色をうかがう
・本音を言えない
・失敗を避けがち
・自己肯定感が育つ
・安心感が根づく
・挑戦への意欲が増す

条件付きの愛が続くと――

子どもは“いい子”を演じることでしか愛を得られないと感じてしまいます。

すると、本当の気持ちを抑えたり、失敗を恐れてチャレンジしなくなったり……。

知らず知らずのうちに、心の自由と、自己肯定感が損なわれてしまうのです。


自己肯定感を育てる子どもとの関わり方

笑顔で笑い合う子どもたちの屋外でのひととき

どんなときも、変わらずに「あなたは大切だよ」と伝える。

それが、子どもにとって本当に必要な無条件の愛です。

たとえば──

  • 思い通りにいかなくて泣いているとき
  • わがままを言って困らせているとき
  • 失敗して落ち込んでいるとき

そんな“うまくできない状態”の時こそ、愛されていると感じられる関わりが大切です。

「自分は愛されている」

「うまくいかないモヤモヤを受け止めてくれる人がいる」

そう感じることで、子どもの自己肯定感が育ち、失敗を恐れずチャレンジする心を持てるようになります。

逆に――

「条件を満たさなきゃ」

「親に褒められるように頑張らなきゃ」

という思考は、自己肯定感が育つのを妨げてしまいます。



子どもが求めているのは「共感」

「すごいね」「上手だね」「えらいね」──

どれも、つい口にしてしまう“褒め言葉”です。

もちろん、褒めること自体が悪いわけではありません。

ただ、それがいつもできたことや成果に対する評価になっていると──

「ちゃんとしないと、ほめてもらえない」

「がんばらないと、見てもらえない」

そんな思いが、子どもの心に芽生えてしまうことがあります。

子どもが本当に求めているのは、“評価”ではなく“共感”。

たとえば──

  • 「がんばってたの見てたよ」
  • 「楽しそうだったね、見ててうれしくなったよ」
  • 「失敗してもあきらめなかったね」

こんなふうに、“行動そのもの”や“そこにある気持ち”を受け止めて伝えることが、無条件の愛を届ける第一歩です。

声かけを、こんなふうに変えてみると…

スクロールできます
シーンよくある褒め方🌸無条件の愛を伝える言葉🌸
絵を描いた上手だね!「色づかいが○○ちゃんらしくて素敵だね」
テストで100点とった頭いいね!「これまで努力してきた成果が出たね、頑張ったね」
お手伝いをしたえらいね!「時間かけて最後までやってくれて、本当に助かったよ」

“がんばった過程”や“その子らしさ”に目を向けて伝えることで、愛情の伝わり方が深まります。

さらに──

「どんなところが楽しかった?」

「どうしてそれを選んだの?」

そんな問いかけを加えることで、子どもは自分の気持ちを言葉にしやすくなります。

無条件の愛を伝える褒め方とは、単なる“評価の言葉”ではなく、心に寄り添う姿勢そのもの。

その関わりが「どんなときでも愛されている」という揺るぎない安心感となり、子どもの自己肯定感を育ててくれるのです。

「罰」が子どもに与える影響

顔を手で覆い、うつむいて泣いている女の子

親が意図せずやってしまいがちなのが、思い通りにいかないときにとして愛情を取り上げてしまうことです。

たとえば──

  • ぐずったから、今日は一緒に遊ばない
  • わがままを言ったから、好物はおあずけ

一見「しつけ」のようにも見えるこれらの対応。

でも実は――

“親の期待通りにふるまわなければ愛されない”という、間違ったメッセージを子どもに与えてしまうのです。

こうした経験が重なると、子どもは次第に――

  • 親の顔色をうかがう
  • 自分の気持ちを押し殺す

といった行動をとるようになります。

つまり、愛情が条件付きであると学習してしまうのです。

だからこそ──

  • 「ぐずったことと、遊ぶことは別」
  • 「怒ったからって、○○ちゃんを嫌いになるわけじゃないよ」

こんなふうに、気持ちと行動を切り分けて伝えることがとても大切です。

「うまく気持ちを出せない日でも、変わらず愛されている」という確信が子どもには必要です。


無条件の愛が育てる“生きる力”

青空の下、木陰で笑顔を見せる4人の子どもたち

無条件の愛は単なる感情ではなく、子どもの“生きる力”です。

  • 困難にも挑戦しようと思える
  • 自分の気持ちを大切にできる
  • 他人の気持ちにも寄り添える
  • 失敗しても、自分を責めすぎない

こうした力は「どんな自分でも受け入れてもらえた」経験から育ちます。

「頑張ったから愛される」ではなく、「頑張れなかった日も、親は隣にいてくれた」──

そんな記憶こそが、長い人生の支えになるのです。


まとめ|条件を手放し、愛そのものを届けよう

育児をしていると、つい“成果”に目が向いてしまいます。

でも、子どもにとって本当に必要なのは「愛されている」という実感そのもの。

「条件付きの愛」ではなく「無条件の愛」を届ける毎日へ、今日から少しずつアップデートしてみませんか?

今日からできる小さなアクション:

  • 「えらい!」の代わりに「うれしかったよ」「ありがとう」を伝えてみる
  • 「どんな時でも○○ちゃんが大好きだよ」と伝える
  • 結果よりも、取り組みの“過程”を具体的に褒める
  • 「できた・できなかった」ではなく「いてくれてありがとう」の気持ちを伝える

この記事を読んで「これ、自分かも…」と感じた方がいても、大丈夫。

愛し方は“いつから”でも、“何度”でも見直していけます。

あなたの言葉や関わりが、子どもにとっての安心自信につながっていきます。

今日から、無条件の愛を少しずつ伝えてみませんか?

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この記事を書いた人

3歳の息子との毎日で、試してよかったこと・うまくいかなかったことをゆるく記録中。
「育児ってこうじゃなきゃダメ?」を見つめ直すヒントと、ちょっとした“心の支え”になるような記事をお届けします。

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