【マターナルゲートキーピングとは?】母親が“抱え込む”心理とその背景|頼れないのはなぜ?

重厚な鉄の門とアーチ状の石造りの入口に「母親による関与制限行動」と英語で「MATERNAL GATEKEEPING」の文字が重ねられた画像
悩める親1

「夫に手伝ってもらいたいけど、つい自分でやってしまう…」

悩める親2

「任せたらモヤモヤして、やり直してしまった…」

育児を“分担したい”という気持ちはあるのに、なぜか一人で抱え込んでしまう。

そんな葛藤を感じたことはありませんか?

その背景には、マターナルゲートキーピング(maternal gatekeeping)という、

育児や家事を囲い込んでしまう無意識の心理が働いているのかもしれません。

こんな悩みを抱えていませんか?
  • 育児や家事を「一人でこなすのが当たり前」になっている方
  • パートナーに頼りたいけれど、不安やモヤモヤがある方
  • 「任せられない自分」を変えたいと感じている方

もし、少しでも心当たりがあるなら――

この記事を読むことで、そのモヤモヤの正体に気づけるかもしれません。

この記事でわかること
  • マターナルゲートキーピングとは何か?
  • なぜ起こるのか、その背景と影響
  • 抱え込まずにパートナーと育児を共有するためのヒント

本記事では便宜上「母親」という表現を使用していますが、これは性別による固定観念を前提としたものではありません。
育児を担う立場であれば、性別に関わらず誰にでも起こりうる心理的現象です。


目次

マターナルゲートキーピングとは?

本の上に置かれた眼鏡と虫眼鏡のクローズアップ写真。テキストが拡大されている様子

マターナルゲートキーピング(maternal gatekeeping)を直訳すると、

母親による門番行動

単語ごとの意味は、

マターナル(maternal
母親の、母性的な

ゲートキーピング(gatekeeping
出入りを管理すること、門番のように制限・管理すること

つまり、育児や家庭内の領域に対して、母親が“入口を管理する人(門番)”のような立場をとることという意味になります。

マターナルゲートキーピングでは、以下のような行動や思考が見受けられます。

行動
  • 育児のやり方に強くこだわって他者の関与を制限する
  • 「自分がやった方が安心」とすべてを引き受ける
思考
  • 「やってもらっても、やり方が違って気になる
  • 「子どものことは私の方がわかってる
  • 自分がやった方が早いし安心

こうした言動が積み重なると、
パートナーの参加意欲を削ぎ、結果的に自分が背負いすぎるという悪循環に陥ります。

マターナルゲートキーピング
育児や家事を“自分の仕事”として抱え込み、他者(主にパートナー)の関与を制限してしまう行動や心理


なぜ起こるのか?

カラフルなクエスチョンマークが散りばめられた背景に、中央に大きな黄緑色の「?」と白文字で「WHY」と書かれた画像

最近では、「母親がすべてを抱える」という構図だけでなく、
“育児を誰がどう進めるか”を、夫婦が無意識に調整し合っている問題としても捉えられています。

たとえば──

母親が「任せられない」と感じる一方で、

父親が「口を出されるくらいならやめておこう」と引いてしまう。

このように、お互いの反応が連鎖的に影響し、
育児の役割が固定化されていくのです

つまりゲートキーピングは、誰か一人の責任ではなく、関係性のなかで自然に生まれる行動パターンだともいえます。

主な原因

なぜ、このような現象が起こるのか?
背景には、個人の性格や社会的な刷り込み、日々の子育てなどが深く関係しています。

スクロールできます
原因内容
母性神話の内面化「母親が一番わかっているべき」「任せるのは無責任」という思い込み
完璧主義子どものために“ベスト”を尽くしたいという強い思い
情報や経験の差育児知識・日々の対応が母親側に偏っていると、他者を頼りにくくなる
自己肯定感の拠り所になっている育児を自分の価値や存在理由と重ねてしまい、手放せなくなる

こうした要因によって、マターナルゲートキーピングは起こりやすくなります。
この状態が続くと、どのような影響が現れるのでしょうか。


引き起こされる影響

雷に打たれた木のシルエットと「INFLUENCE」の文字が重なった風景

マターナルゲートキーピングが続くと、育児の負担だけでなく、家庭内の関係性や自分自身の心にもさまざまな影響をもたらします。

たとえば──

母親自身が疲弊しやすくなる

すべてを一人で抱えることで、心身ともに余裕がなくなり、慢性的なストレスや自己否定感に陥りやすくなります。

パートナーが育児から引いてしまう

「口を出しても意味がない」「どうせ否定される」という感覚が積み重なり、関与の機会そのものが失われていきます

役割の固定化が進む

家事・育児の大半を一方が担うことで、「やるのが当たり前」とされ、不満を抱えても“見えづらい不公平”が常態化します。

子どもへの影響

極端に母親に偏った関わり方は、“母親でなければダメ”という依存傾向を強めたり、他の大人との関係形成に影響を及ぼすこともあります。

マターナルゲートキーピングは、家族全体のつながりや信頼関係に、じわじわとひずみをもたらす側面があるのです。


育児を共有するためのヒント

「TIPS AND TRICKS」と書かれたブロック文字とワイヤレスイヤホン、電球マークのイラストが並ぶ画像

放っておくと、気づかないうちに苦しくなるのがゲートキーピングの怖いところ。
では、どうすればもう少しラクに子育てと関わっていけるのでしょうか?

① 「任せることは信頼の証」と捉える

手放すこと=サボることではありません。

パートナーに任せることは、「信頼している」という姿勢の表れです。

うまくいかないときがあっても、続けることで家族としての成長が生まれます。

② 「違い=間違い」ではないと意識する

自分のやり方と違っても、それが子どもにとって悪いとは限りません。

いろいろな方法に触れることは、子どもにとっても貴重な学びになります。

③ 小さなステップで“手放し”の練習を

まずは簡単なところから任せてみましょう。

  • オムツ替え
  • 寝かしつけの付き添い
  • 保育園の準備
  • 子どもとの外出

最初は気になるかもしれませんが、“あえて任せてみる”ことで新たな関係性が築かれます。

大切なのは、自分を責めることではなく、気づいたときから小さな一歩を踏み出すこと。
小さな分担を重ねていくことで、家族との関係も、自分自身の心も、少しずつ変わっていきます。


まとめ

マターナルゲートキーピングは、「自分がやらなきゃ」という強い責任感から始まります。

でも、その背景には“無意識の思い込み”や“すれ違い”が隠れていることも多いのです。

だからこそ、まずは立ち止まってみてください。

  • 「なぜ任せられないのか?」
  • 「本当に私だけがやるべきことなのか?」
  • 「違うやり方でも、大丈夫かもしれない」

そう考えられたとき、育児は分担から共有へとアップデートしていきます。

家庭というチームで、無理なく支え合える形を一緒に見つけていきましょう。

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この記事を書いた人

3歳の息子との毎日で、試してよかったこと・うまくいかなかったことをゆるく記録中。
「育児ってこうじゃなきゃダメ?」を見つめ直すヒントと、ちょっとした“心の支え”になるような記事をお届けします。

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