【子どもが言うことを聞かない理由】年齢別に見る“まだできない”背景と対応のコツ

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壁に描かれた大きな地球に手を伸ばす子どもたちの後ろ姿と、「子どもが言うことを聞かない理由」と書かれたタイトルデザイン
悩める親1

何度も同じことを注意をしたくない

悩める親2

ダメなことを繰り返されてつらい

あぷ父

実は、子どもには“聞けない理由”があるんです。

こんなこと、ありませんか?
  • 何度も注意してるのに、まったく同じことを繰り返される
  • 名前を呼んでも無視されているように感じる
  • 「わざとやってるの?」と思うような反発やふざけた態度
  • 頼んだ行動をしないまま、遊び続けている
  • 「今やろうとしてたのに!」と逆ギレされてモヤモヤ…

そんな毎日に、思わずイライラしたり、落ち込んだりしてしまうこと、ありませんか?

実は、言うことを聞かないには理由があります。

子どもの“聞かない”という行動の裏には、発達段階に応じた「まだ聞けない」理由が隠れていることがとても多いのです。

親がちゃんと伝えたつもりでも、子どもにはまだ届かない・まだ切り替えられない・まだ納得できない
…そんな背景があるかもしれません。

だからこそ、伝え方や関わり方を少し見直すだけで、子どもの反応が驚くほど変わることもあります。

この記事でわかること
  • 年齢ごとに違う「聞けない」理由とその背景
  • 声かけや関わり方を少し変えるだけで伝わる、実践的なヒント
  • 親子の衝突を減らし、“できた!”が増える関わり方の工夫
  • 子どもの心を傷つけず、自己肯定感を育む声かけのコツ

「言うことを聞かない子」ではなく、「まだ聞けない子」なんだと捉える視点を持つことで、親子の関係はぐっとラクになります。

本記事が、そんな視点のアップデートのきっかけになりますように。


本の上に置かれた眼鏡と虫眼鏡のクローズアップ写真。テキストが拡大されている様子
目次

年齢別でわかる「まだ聞けない」背景と対応

子どもが親の声かけに反応しないとき、「聞こえてないの?」「わざと?」と感じてしまうことがありますよね。

しかし実際には、“反抗している”のではなく、“まだできない”段階にあることが多いのです。

子どもの発達はおよそ1〜2年ごとに質的に変化するとされており、それに応じた対応が必要です。

【1〜1.5歳】“伝わらない”のがあたりまえの時期

特徴

1歳を過ぎると、表情が豊かになり、言葉も少しずつ出てきます。

けれど、まだ言葉の意味をしっかり理解して行動に移すことはできません。

この時期は、親の声かけが“意味”として届いていない前提で関わることが大切です。

よくある困りごと
  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 危ないものに何度も手を伸ばす
  • 「ダメ!」と言うと、余計に泣いたり怒ったりする

「聞こえてるのに無視してる?」と思うかもしれませんが、
集中しているときは周りの音が入ってこないのが普通です。

背景にある“脳の仕組み”
  • 注意を向けられる時間は数秒程度と、とても短い
  • 親の声は、まだ“意味のある言葉”ではなく“音のかたまり”として処理されている
  • 「自分がやりたいこと」が最優先で、止まる・切り替えるといった制御はまだ難しい

つまり、「言ったのにできない」のではなく、“まだ理解できない・制御できない”状態なのです。

親にできる工夫
  • 言葉だけで伝えようとせず、手ぶりや表情、視線の方向で伝える
  • 危ないときは、言葉で止めるより、手をそっと止めて安全な方向に誘導する
  • 伝わらないのが普通だと思って、「まだわからないよね」と心に余裕を持つことがいちばんの対策です

例:
「熱いからダメ!」と大きな声で制止するより
静かに手を止めて「こっちはさわっても大丈夫だよ」とやさしく示す。

この時期は、「言ってもわからない」が当たり前。
言葉に期待しすぎず、“見せて・動かして・安心させる”関わりがいちばん伝わります。

【1.5〜3歳】“イヤイヤ期”は「自分で決めたい」のサイン

特徴

「イヤ!」「じぶんで!」という言葉が急に増えて、戸惑った経験はありませんか?

この時期の子どもは、自我が大きく育ちはじめ、親に言われたからやるよりも、
自分で決めたい気持ちが強くなっていきます。

大人にとっては“わがまま”“反抗”に見える行動も、心の成長のあらわれです。

よくある困りごと
  • 着替えや歯磨きを全力で拒否する
  • 外出準備になると、わざとふざける
  • 「ダメ」と言うと泣き叫んだり、ひっくり返る

「何度言っても聞かない」「毎日同じやり取りでヘトヘト…」という声もよく聞きます。

でも実は、それも“親に支配されたくない”という自然な成長過程なのです。

背景にある“こころの動き
  • 脳の前頭前野はまだ未熟で、感情のコントロールが難しい
  • 言われたからやるではなく、自分で決めたという実感が必要
  • 自分の気持ちをうまく言葉にできないことで、爆発的な癇癪につながることも

この年齢では、行動でしか気持ちを表現できないことが多いのです。

前頭前野ってどんな働き?
前頭前野とは、感情や行動をコントロールする脳の領域。
3〜6歳ごろは未成熟で、切り替えや我慢が難しい状態です。

親にできる工夫
  • 選択肢を提示して主導権を渡す:「靴は赤と青どっちがいい?」
  • 「○○したかったんだね」と、まず気持ちに共感する
  • 癇癪には無理に動かそうとせず、“落ち着くのを待つ”ことが大事

例:
「まだ遊びたいよね。でもそろそろお風呂の時間だよ。」
「アヒルさんも連れて行って一緒に入ろうか?」

「自分で選んだ」と感じられれば、子どもは驚くほどスムーズに行動することがあります。

この時期は、「どう動かすか」よりも「どう尊重するか」が大切。
“行動を変える”よりも、“気持ちを受け止める”ことが近道です。

【3〜5歳】理解はしている。でも「気持ち」が切り替わらない

特徴

3歳を過ぎると、話の内容をしっかり理解してくれる場面が増えてきます。

「これ終わったらごはんだよ」「片づけたら遊びに行けるよ」といった言葉も通じるようになり、
ついわかってるんだからできるはずと期待してしまいがちです。

でも実際には、気持ちが切り替わらずに行動に移せないことがたくさんあります。

よくある困りごと
  • 「もう1回!」を繰り返して、遊びが終われない
  • 声をかけてもおもちゃを片づけようとしない
  • 注意すると「うるさい!」「やろうとしてたのに!」と逆ギレ、あるいは黙り込んで拗ねる

「言ってることは理解してるのに…」と思う瞬間、ありますよね。

でもこの年齢は、“感情”が“理解”より先に動くのが自然な段階なのです。

背景にある“こころの動き
  • 理屈はわかっていても、今やりたいことに感情が引っ張られてしまう
  • 気持ちを自分で切り替えるのはまだ難しく、外からのサポートが必要
  • 「習慣」「順番」「決まった合図」があると、気持ちの橋渡しになりやすい

つまり、「やりたくない」ではなく、
「やめ方がわからない」「区切りをつける手段がない」という状態なのです。

親にできる工夫
  • 「あと3回でおしまいね」「タイマーが鳴ったらごはん」など、予告・見通しを伝える
  • 「まだ遊びたいんだよね。でも…」と、共感語で気持ちを受け止めたうえで提案
  • 行動そのものよりも、“気持ちが切り替えやすい環境”を整えることがポイント

例:
「まだ遊びたいよね。でも時計が7になったらごはんって決めたよね。」
「タイマーが鳴ったよ。お皿並べるの手伝ってくれる?」

「やめなさい」より、「区切りを一緒に作る」声かけが、子どもにとっても心の準備になります。

この時期は、「理解していても動けない」がふつう。
“切り替えのきっかけ”をつくることが、親にできるいちばんのサポートです。

【5〜6歳】“わかってるのにできない”心の葛藤の時期

特徴

5〜6歳になると、話の内容や理由もだいぶ理解できるようになり、「我慢」や「順番」も意識できる場面が増えてきます。

それなのに、実際には同じことで何度も注意されたり、反発したりする…そんな場面に、モヤモヤした経験はありませんか?

この時期の子どもは「理解はしているけれど、納得していないと動けない」という内的な葛藤を抱えやすくなります。

よくある困りごと
  • 「片づけて」と何度言ってもダラダラ…結局やらない
  • 注意すると「今やろうとしてたのに!」と怒る、逆ギレする
  • 叱ったら無言・泣き出す・部屋を出ていくなど感情で反応

大人から見ると「わかってるのに、なんでやらないの?」と思いがちですが、

子ども自身も「どうしてもうまくいかない」もどかしさを感じていることがあります。

背景にある“こころの動き
  • 理屈で理解できても、感情の波や疲れに左右されやすい
  • 自尊心が芽生え始め、「失敗したくない」「怒られたくない」気持ちが強くなる
  • 親の言葉を、行動への指示ではなく“自分への評価”と受け取りやすい時期でもある

「何でできないの?」と言われると、「自分はダメなんだ」と思い込みやすくなるのがこの年齢です。

親にできる工夫
  • 命令や指示よりも、「どうしたらうまくいきそうかな?」と相談スタイルで声をかける
  • 小さな“できた”を見つけて、「そこ気づいたね」「昨日より早かったよ」と具体的に認める
  • 感情が高ぶっているときは、一度クールダウンできる時間や場所を用意してあげる

例:
「今日は疲れてるよね。じゃあ10分だけ休憩して、それから一緒にやってみようか?」

自分の気持ちを理解してもらえたと感じたとき、子どもは安心して行動に移しやすくなります。

5〜6歳は、“できるはず”に見えるぶん、ズレが大きく感じられやすい時期。
でもそのズレの裏には、「自分でやりたい」「失敗したくない」そんな小さな自尊心が育っています。
できていないところを見るのではなく、“できそうな入口”を一緒に探していく
それが、親にできる最大のサポートです。


「TIPS AND TRICKS」と書かれたブロック文字とワイヤレスイヤホン、電球マークのイラストが並ぶ画像

親の関わり方で変わる|実践アプローチと声かけ例

子どもが「言うことを聞かない」とき、それを“わざと”と受け取ってしまうと、親もストレスを感じやすくなります。

しかし、実際には発達段階に応じて「まだ聞けない」状態であることが多いのです。

このセクションでは、親が実践できる関わり方と、実際に効果を感じた事例を年齢別にまとめて紹介します。

共通の基本姿勢】

  • 伝え方を工夫する:命令口調ではなく、具体的で届きやすい言い方に
  • 感情を受け止める:まず“共感語”から入ることで心が開きやすくなる
  • 選ばせる・待つ:行動の主導権を持たせると納得感が増す
  • 小さなできたを認める:自己肯定感の土台を育む

年齢別|聞けなかった子が「聞けるようになった」実践例集

年齢困りごと有効だった親の対応実際の変化・成功事例
1〜1.5歳呼びかけに反応しない / 危ないものを触りたがる言葉で制止せず、身体をそっと止めて別の物に興味を向ける危険行動の回数が減り、親の動きに自然と注目するようになった
1.5〜3歳イヤイヤ・癇癪・拒否反応 / ふざける「〇〇したいんだね」と共感した上で選択肢を提示癇癪が短くなり、自分から「こっちにする」と言うことが増えた
3〜5歳終わらない・切り替えられない / 「やだ!」で止まるタイマー・カウントダウン・事前予告を導入、「あと1回でおしまい」と視覚化「ピッてなったらやめる」が定着し、親子ともにストレスが軽減
5〜6歳理屈は通じるのに反発 / 無視・拗ねる「どうしたらやれそう?」と相談形式で聞き、選択権を渡す「今は休憩したい」と自分の気持ちを言葉にできるようになった

声かけ変換例

子どもは、否定的な言葉よりも、
具体的な行動提案や努力の過程を肯定する言葉の方が、受け入れやすく安心しやすい傾向があります。

NGワードポジティブな言い換え
なんで言うこと聞けないの?おもちゃは箱に入れてね
早くして!あと3分で出発だよ、靴をはこうか
ほんとダメね惜しかったね、あと少しだったよ
またやってる!今気づけたね、それってすごいよ

【伝え方のコツ】

  • 声をかける前にテレビや音を止める
  • 目を見て、一呼吸おいてから話す
  • 「今やること/あとでやること」を明確に分けて伝える
  • 急いでいるときほど、行動の“見通し”を共有する工夫(〇〇したら△△)

“届く関わり”が、自己肯定感の芽になる

子どもが「言うことを聞かない」とき、それは大人にとって“試練”のように感じるかもしれません。でも、実際にはその瞬間こそが、親子の関係性を育むチャンスでもあります。

  • 無理やり従わせようとしない
  • 感情や状況を“理解して寄り添う”姿勢を持つ
  • そして、できたときにしっかりと言葉で認める

こうした積み重ねが、子どもの「自分は大丈夫」「ちゃんと聞ける子なんだ」という感覚を育てていきます。

親自身も完璧を目指さず、“うまくいかない日があってもいい”と許せる気持ちを持ちましょう。

そんな関わりこそが、子どもの心を開く力になります。


まとめ

子どもが言うことを聞かないのは、「聞く気がない」のではなく、“まだ聞けない状態”であることが多いのです。

親の関わり方をほんの少し変えるだけで、子どもとのやりとりがスムーズになるきっかけを作ることができます。

ポイントをおさらい
  • 年齢に合った期待を持つ
  • シンプルで具体的な声かけをする
  • 待つ・選ばせる・共感する姿勢を意識する
  • 「できたこと」に目を向けて声をかける

子どもに“できるようになる日”は、必ずやってきます。

焦らず、比べず、日々のやりとりを丁寧に積み重ねていきましょう。

そしてなにより大切なのは、親自身が「うまくいかない日もあっていい」と思えることです。

親子の関係性をより良いものにするために、「言うことを聞かない」日々もまた、育児をアップデートする貴重なヒントになるはずです。

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